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まったくオリジナルの印影をつくる

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スタンプナメカワは手彫りであることを重視して活動していますが、現在、印章業界は機械彫りが主流。この状況が意味するのは、印章における重要な文字の勉強をしていない人材が増えているということを示しているんです。彼らはパソコンを操り、ワープロ感覚で漢字変換とフォント選択後、彫刻機にかける一連の流れを、あたかもプリンターで印字するような感覚で行ないます。結果、同じ名前であれば、同様の印章が世の中に複数現れてしまう。例えば、鈴木さんというお客様から2本の印章を注文いただいた場合、私たちはフォントに変化、修正をかけて違うものをつくります。「この世に二つとない、その人を証明する」ことに、印章の意味・意義があると確信しているからです。

文字にアレンジ、オリジナリティを加えるにあたっては、いうまでもなく、いい加減に曲げたり、線をくっつけたりすると、違う読み方や、有り得ない文字になってしまいます。文字の形だけがオリジナルというのは言語道断。きちんと文字の成り立ち、本来の意味を理解していなければ、適切なアレンジはできないのです。プロとして、間違いのない正式な文字でありつつ、なおかつそのお客様の雰囲気に合った個性を際立たせられるよう、私たちは取り組んでいます。何千年も使われている篆書体は、時代によって違いも生じているため、技術と共に、文字への考察力や知識を併せ持つことで、初めて正しいアレンジができるんです。

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印章は、筆で書くのと同じことを、彫刻刀で行なっています。ですから、筆の流れとして有り得ない線づかいや、力の入れ方にならないよう注意を払わなければいけません。「鉄筆(てっぴつ)」と表現されるが如く、書くことと彫ることは同じ事柄。我が身の技術として身につけるには、やはり、実務としての経験・良い手本を見たものの豊富さ・勉強してきた積み重ねが、非常に重要なポイントとなります。基準を満たしていないオリジナリティは、ハンコであってハンコでない別の代物。「その人を表す世界でひとつだけの印影」という印章文化本来の目的がおざなりにされてしまっては、本末転倒だと思うのですが。

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「システムとして必要だから」のみの考えで、安くて早い印章を買い求め、文字自体が成立していなくてもかまわないのならば、それこそ印章は、この世に存在しなくても良いことになってしまいます。私を含め、誇りを持って生業(なりわい)とする者にとって、それはとても悲しいこと。先人たちの想いを継承していかないと、今後、本当に印章が必要とされなくなる時代が来てしまう。そんな風に危惧を覚えてしまうんです。そうならないためにも、プロである私たちがきちんとした印章をつくり続け、社会の役に立ち続けなければ、という使命感はひしひしと感じています。

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