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長年の取引先インタビュー

藤山商事株式会社 [印判材料・事務用品卸]
http://www.fujiyama-shoji.com

 

 

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藤山: 滑川さんの先代、つまり亡くなったお父さんは、本当に心のあたたかい人でした。どんな時でも、こちらからの言葉をしっかり受けとめてくれましたし。そういう優しい人柄でしたから、ウチの先代である父も祖母も「滑川さん、滑川さん」と、常に慕っていましたよ。今はそれぞれ代が替わって、我々が取引の関係性を受け継いでいるんだから、何か不思議な気もしますね。

 

滑川: 確かに親の代の頃は、今と比べてゆったりしていましたよね。営業の方が訪ねて来てくれた時も「まあ、飯でも食っていきなよ」とか(笑)。仕事の話だけでなく、人間同士の付き合いが根底にあった気がします。

 

藤山: あの頃は、みんな人情味があったからね。あの当時は、取引先に出かける出張が楽しみでしたよ(笑)。そういう関係性を踏まえて、滑川さんの先代から「息子の修業先について」と相談を受けました。幾つかある候補から、当時の状況なんかも鑑みて、吉枝耕文堂さんを紹介させていただいたわけです。今と変わらず、あの頃も滑川さんは前向きで素直、人柄そのものが非常に良かったですから、吉枝社長を始め、みなさんに可愛がられていました。今では、当時の滑川さんのように、親元を離れ本格的な修業に出て、講習会へも参加するという形はなくなってきましたね。

 

滑川: 最近よく聞くのは、職業訓練校などから、全く畑違いの人たちが、職探しの期間中に勉強するケースが多いこと。印章店の後継者が修業するという、私が経験した本来の修業はだいぶ減少してしまったようですね。

 

藤山: 業界の状況そのものが、一昔前とはだいぶ変わってきたからでしょうね。今、業界の流れとして、由々しきことだけれど、安売り合戦に走っている。これは、業界そのものが内部で壊し合い、傷つけ合っている状況に他ならない。だから当社は、そういう安売りの現状には、一切参加しないことを決めています。どう考えても、自分で自分の首を絞めているようなものですから。こんな時だからこそ、むしろ、本物、良い物を追求し、目指すやり方をしていかないといけないと思いますね。

 

滑川: 本当にそうですよね。加えて言えば、本物の技術を持っていながら、表に出してPRできないという方が、この業界には多いんです。私としては、これまでの経験・技術を活かし、今まで生き残ってきたハンコ屋さんとは違った形で、印章の良さを広げていきたい。そういう使命感が、自分の中で育ってきているのは確か。今ここで頑張らないと、印章に対する伝統的な価値観も崩れてしまう。そんな危機感は、強く持っていますね。

 

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藤山: 今、滑川さんは、具体的なPRに繋がるものして、どんなことを取り入れてるのかな?

 

滑川: 最近だと、鑑定書や保証書などの大げさな意味合いでなく、完全手彫りの商品に対し、文字の成り立ちや意味を解説した証明書のようなものを付加価値として付けることを始めました。

 

藤山: (実際に手に取りながら)おお、いいじゃない。一般の人に興味を喚起するきっかけになるよね、こういう形なら。文字の成り立ちや意味合いは、何しろ専門家だから、さすがにお手のもの(笑)。とてもおもしろい試みだと思う。

 

滑川: 他には、材料や彫刻工法などの説明もしっかりとしていきたいと考えてます。機械彫りと手彫りの違いなどの説明を、興味深く感じてくれる一般の方が多いことにも気づきましたし。一つひとつできることを、しっかりコツコツとやっていきたいと思います。

 

藤山: 滑川さんの真面目さは、本当にずっと変わらない。商売の部分に関して言えば、ずっと安定した取引を続けてもらっている。それが一番ありがたいことだし、同時に、顔を合わせなくても、滑川さんの経営がうまくいってる何よりの証明だから、嬉しくも感じるんですよね。思い出深いのは、滑川さんの結婚式に呼ばれ、茨城に行った時のこと。タクシーの運転手さんが、ちゃんと滑川さんのお店のことを知っていることに驚きましたね。地元に根ざして頑張っていることがわかって、やはり嬉しい気持ちになったものです。

 

滑川: 藤山商事さんは、代々お世話になった大切なお取引様です。かつて地元の大手企業における職印等の仕事でも、特殊な素材、イレギュラーな形・規格な点など、藤山さんでなければ安心して頼めないという状況は数限りなかったですから。今でも藤山さんは、本当に心強い存在ですね。

 

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藤山: 滑川さんとはこれまで同様、ずっと懇意に取引を続けさせてもらいたいですね。また、滑川さんが新しい動きをしていこうとする際には協力させてもらいたいとの思いもあります。当社としても、私個人としても、滑川さんには頑張ってほしいという気持ちを、強く持っていますね。

 

滑川: 頼りがいのある藤山さんにそう言ってもらえるのは、とても嬉しい。仕事の上でも、勉強する上でも、お世話になることが多いと思いますので、これからもよろしくお願いします。

 

藤山: いえいえ、こちらこそ。今日はわざわざ茨城から会いに来てくれてありがとうね。すごく嬉しかったよ。

印章にまつわる秘蔵のコレクション部屋に足を踏み入れさせていただだいた。豊臣秀吉の直筆書状、山下清画伯の画、その起源とされる何千年前の印章を始めとする、様々な信じ難い品々が部屋いっぱい、所狭しと並ぶ様は、けだし壮観の一語。某国営放送局が取材に訪れ、また、幾多の博物館が展覧会用に借用依頼に訪れることもしばしというのも納得、そして驚愕の念を禁じえない。

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